ヘッダー画像

◆中小企業診断士とは◆

中小企業診断士の仕事は、企業経営の健全化、効率化の為に、対象企業の財務・労務・生産・販売など企業全般にわたって診断を行い、
改善方法を助言する事です。

中小企業診断士は、経営コンサルティングに関する唯一の国家資格です。
「中小企業支援法」第11条に基づき、経済産業大臣が登録します。
ただし、弁護士、税理士、公認会計士、社会保険労務士などの独占業務資格(資格取得者のみが業務を行える資格)ではなく、名称独占
資格(資格取得者のみが名称を使える資格)なので、中小企業診断士以外でも経営コンサルティングを行う事は可能です。

◆中小企業診断士になるには◆

中小企業診断士になるためには、以下のステップが必要です。
中小企業診断士制度
中小企業庁の「中小企業診断士制度の概要」から引用)


1次試験

何はともあれ、この試験に受からないと中小企業診断士への道は開きません。
2日間で7科目のマークシートの試験を受けるのですが、結構過酷です。一度に7科目受けると2日目の午後はヘロヘロだったりします。

令和4年時点のスケジュールは以下の通りです。

 1日目 A.経済学・経済政策(60分)
B.財務・会計(60分)
C.企業経営理論(90分)
D.運営管理(オペレーション・マネジメント)(90分)
 2日目 E.経営法務(60分)
F.経営情報システム(60分)
G.中小企業経営・中小企業政策(90分)

1次試験の合格基準は、
  「総点数の60%以上であって、かつ1科目でも満点の40%未満のないことを基準とし、試験委員会が相当と認めた得点比率」
となっています。
よって、総点数は100点×7科目=700点で、その60%以上なので、合計で420点取れば良いのです。
ただし、1科目でも40点未満があれば、そこで不合格になってしまいます。

なお、2006年から、1次試験に「科目合格」という制度が導入されました。1次試験が不合格でも、60点取れた科目は、「科目合格」になります。
「科目合格」の場合は、翌年度と翌々年度の1次試験を受験する際、申請により当該科目が免除されます。
免除申請した場合は、その年に受験した科目の総得点の60%で合格です。

合格率は年度で結構変動があるのですが、ここ10年の合格率を平均すると、26.5%です。
ただし、ここ数年は合格率が上昇傾向にあります。
2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021 合計 平均
実受験者数 14,981 14,252 13,805 13,186 13,605 14,343 13,773 14,691 11,785 16,057 140,478
合格者数 3,519 3,094 3,207 3,426 2,404 3,106 3,236 4,444 5,005 5,839 37,280
合格率 23.5% 21.7% 23.2% 26.0% 17.7% 21.7% 23.5% 30.2% 42.5% 36.4% 26.5%
一般社団法人 中小企業診断協会のデータから引用)


2次試験

2次試験は、1日で4科目、全て80分の筆記試験です。
テーマに沿った事例が与件文で与えられ、それについて、30字~200字程度の解答が要求されます。
ざっくり表現すると、「掴み所のない試験」です。自分が何故受かったのかわからないという合格者もいます。

令和4年時点の内容は以下の通りです。

  中小企業の診断及び助言に関する実務の事例Ⅰ~Ⅳ
  (事例Ⅰ 組織・人事
   事例Ⅱ マーケティング・流通
   事例Ⅲ 生産・技術
   事例Ⅳ 財務・会計)

2次試験のここ10年の合格率を平均すると、19.7%です。
2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021 合計 平均
受験者数 4,878 4,907 4,885 4,941 4,394 4,279 4,812 5,954 6,388 8,757 54,195
筆記試験合格者数 1,220 915 1,190 944 842 830 906 1,091 1,175 1,605 10,718
口述試験合格者数 1,220 910 1,185 944 842 828 905 1,088 1,174 1,600 10,696
合格率 25.0% 18.5% 24.3% 19.1% 19.2% 19.4% 18.8% 18.3% 18.4% 18.3% 19.7%
一般社団法人 中小企業診断協会のデータから引用)

ここ10年の合格率の平均が、1次試験が26.5%、2次試験が19.7%なので、単純に掛け算すると、1次と2次あわせての合格率は5.2%となります。


中小企業基盤整備機構または登録養成機関が実施する養成課程

2次試験を受ける代わりに、養成課程を卒業する事でも、中小企業診断士になることができます。
正確には、(独)中小企業基盤整備機構の中小企業大学校が実施するのが「養成課程」、それ以外の機関が実施するのが「登録養成課程」と呼びます。
「養成課程」は全日制で期間は6ヶ月ですが、「登録養成課程」は全日制で6ヶ月もあれば、夜間のみで2年かかるところもあり、まちまちです。

中小企業庁のHPに令和3年11月12日更新の「養成課程・登録養成課程実施機関一覧」が掲載されています。


実務補習もしくは診断実務従事

中小企業診断協会が行うのが「実務補習」、中小企業診断士事務所で行うのが「診断実務従事」です。
「実務補習」は、15日間の実習方式で実施します。
1グループを受講者6名以内で編成し、指導員の指導のもと、実際に企業に対して経営診断・助言を行います。
1企業に対して、現場診断・調査、資料分析、診断報告書の作成、報告会をのべ5日間で行い、それを3企業分行います。

なお、令和4年4月1日から中小企業診断士制度の一部が改正され、
  3.現行実務補習の対象企業数の見直し
    登録実務補習機関が行う現行の実務補習(指導者及びグループによる実務補習)における「診断又は助言を行う対象中小企業者数」
    について、より丁寧に実践的なカリキュラム構成のもとで実務を学べるよう「3社以上」を「2社以上」に改定することとします。
となったので、今後、1企業5日間×3企業=15日間ではなく、1企業7.5日間×2企業=15日間になるかも知れません。


◆資格維持◆

中小企業診断士の登録の有効期間は、登録の日から起算して5年間です。
登録を更新するためには、以下の(1)専門知識補充要件と、(2)実務要件の両方を満たす必要があります。
 (1) 専門知識補充要件
   以下のいずれかを合計して5回以上の実績を有すること。
    1) 理論政策更新(理論政策)研修を修了したこと。
    2) 論文審査に合格したこと。
    3) 理論政策更新(理論政策)研修講師を務め指導したこと。

 (2) 実務要件
   以下のいずれかを合計して30日以上行ったこと。
    1) 診断助言業務等に従事したこと。
    2) 実務補習を受講したこと。
    3) 実習、実務補習を指導したこと。
詳しくは、中小企業庁のHPの申請・届出の手引きを参照してください。